日原川4/4釣行

SUGURU

2010年04月05日 16:11

日原川へ行って来ました。
先月は積雪の中の釣行になってしまったので、今回こそは春の釣行を
楽しもうと思っていたのですが、天候は生憎の曇天で、冬にでも戻った
のかと思うような冷たい風が時々顔にあたる寒い1日になってしまいま
した。



2010年4月4日 荒瀬に棲むヤマメらしく背ビレが擦り切れていました


まずマイポイントは後にして、もう少し上流へ行ってみることにしました。
と言っても馴染みのある小川谷橋の付近です。

身支度をしていますと下流から続けて2人の釣師が目の前を釣り上が
って行きます。おやおや今日も賑やかな釣りになりそうだなと、先行の
2人が上流で詰まっている様子なので、今は逆に釣り下がることにしま
した。

釣り下がるといっても、まあ2人も続けて竿を入れて来たわけですから、
場荒れしている可能性は大きく、大場だけではなく見逃しがちな小さな
ポイントもせこく狙うようにしました。

昨年に比べ水量が多く久々に見ることもあって、ポイントの景色が新鮮
に映ります。これといったアタリも無いまま釣り下り、以前ニジマスを釣っ
たことのあるSカーブのドン突きのポイントに差し掛かりました。落ち込み
から勢いで白い泡で川床は見えませんが、大きめな底石が二三個転が
っている頃良いのポイントであることは知っています。岩壁に沿って仕掛
けを流し、流心に向かって合流するようにコントロールする必要がありま
す。その岩壁に当ててポトッと餌を落として間もない時でした、餌は沈み
込んだはずなのに岩にラインがピタッと張り付いて流れ出さず静止した
まま、目印が小さな渦を描いています。おやっと思った瞬間、ツツッとい
うアタリが手元に伝わります。

ここは獲物に川床まで逃げ込まれますと水流に勢いがあるだけに寄せ
が難しくなります。以前のニジマスがそうでした、頭に記憶がよみがえり
ます。竿を立てたままにして、獲物の顔が水面に突き出すまでじっと待ち
ます。我慢しきれずに浮いたところで引き抜きます。

引きが弱かったこともあってサイズは小さいと予想していましたが、タモ
に入ったのは16センチくらいのヤマメでした。相変わらず型が小さいです。

そのまま釣り下がってポイントを探します。
小さな落込みがあって、久々に魚信を感じて、うまく合わせたつもりだっ
たのですが、掛かりが浅かったらしくタモを腰から抜こうとした瞬間にバ
ラしてしまい。それ以降、これといった反応も無く、先をルアーの釣師が
居て、ルアーに適するポイントは少ないはずで、追い立てるのもいかが
と思い一旦戻ることにしました。小川谷出合いの方を見るとさっきの釣
師の姿は見えず、今の間に少し釣り上がることにします。

水温を計ってみると6℃しかなく、まだまだぬるむには時間がかかりそ
うです。

洗面器ほどの落込みがあって、イワナの好みそうなポイントです。ちょう
ちん釣りのように竿を立てたままライン15センチくらいだけ水面に沈めて
じっと待っていますと穂先がピクピクと動き出しました。どんぴしゃだと喜
んで引き上げましたが、イワナではなくて、やはり小振りのヤマメがかか
っていました。

  
[左]S字のドン突き岩壁に沿って仕掛けを流す
[中]16センチ程度小振りのヤマメ
[右]小さな落込みに潜んでいたヤマメ、まだ瀬で遊ぶには早い・・


それから少し釣り上りましたが、これといった反応も無く、下からまた釣師
が追ってくるので、この先はその釣師に譲り、私は林道へ上がってマイポ
イントへ移動することにしました。


日曜日だからやはり釣師が多いのだろう、少しあせってマイポイントへ
向かいました。途中の登山道から下を覗くと釣師の姿はなく一安心で
す。鷹の巣山経由で雲取山へでも向かうのかハイカーのグループを
何組か見ました。


さっそく竿を出します。

時々雲の切れ間から陽が当ると心地良いのですが、それは束の間で
また雲に隠れ冷たい風が吹くと身震いしてしまう状態の繰り返しでど
うも落ち着きません。

瀬は流れが強く思ったように仕掛けが流れてくれません。それで大岩
の下のポイントへ早々移りました。
さい先良く1投目からアタリます。ツンツンという手応えを感じつつ、や
っぱりここは鉄板だなーと、さすがマイポイントと自惚れしたところで、
またバラしてしまいました。先回のこともあり、あんなに喰わてから引
いたのにと悔やみきれません。その後二度ほど投入しましたが反応
はありませんでした。

しかたなく、その手前の被り石がいくつか並んで、流れの緩まった辺り
に仕掛けを流してみます。迷路のような石の並びでクランクしている隙
間があり、そこを按配良く流れてくれて、その隙間から抜けたところで
アタリがありました。水深は浅く、タルミみたいな場所なので獲物の逃
げる様がはっきり見えます。

若干右往左往する引きを楽しんでからタモに寄せました。17センチの
ヤマメでした。サイズは小振りですがなかなかの美人ヤマメです。


それからいつもの小沢にも寄ったのですが、ここ何回かの雨や強風が
原因なのかもしれません、倒木が流れ込んで沢を堰き止め、土砂が流
れ出ないこともあって川床が上がって砂場みたいで竿を出せるような
状態になっていませんでした。


さらに釣り下がって、あっちこっちに竿を出してはみますが反応らしき
ものも無く、結局先月も苦闘したあの因縁のポイントへ辿りついたの
です。

見上げますとどんより曇り空で、時刻は昼前だというのに冬の夕方の
ように感じるほどです。周囲の山の頂は靄っていて上流や源流域は雨
がもう降っているのではと想像させる景色です。
ここのポイントで最後にしようと決めて、因縁の最終決戦が始まったわ
けです。

前回より確かに流れは早く水量も多いので川幅いっぱいに流れてい
て、対岸のわずかな淀に仕掛けを落とすしかありません。餌が早く沈
まないと容赦なく瀬尻へ流れ出てしまって、落下点を探すべく投餌を
何回も繰り返します。

流れの中央に二つ岩かあって対岸側と岩の周囲に魚が付いているは
ずなのです。

淀と瀬脇の流れの境界あたりに目印が止まりますと下へツッツッと軽
い引きがあります。今日も居るようです。前回も何度と無く掛かりが悪
くバラしています、なので思う存分喰ってくれという気持ちで間合いを
取ります。ここぞというタイミングで竿をゆっくりと立てますと間違いな
く掛かっています。それで流れの反対方向に竿を横にして浮いてくる
のを待ちます。ところが意外と直ぐに浮上するのです。そこで一気に
手前に寄せようと竿をコントロールしたところ、バレてしまいました。前
回とパターンが一緒です。

またやられたと苦笑い、しかしここは意地を見せねばなりません。
相手がニジマスなのかヤマメなのかわかりませんが、こっちの挑戦に
ちゃんと受けてくるところがスゴイやつです。
さて戦法を考えねばなりません。合せるか成り行きで掛かるまで待つ
か。けれど先回も今回もいちよう私の頭を巡らせた末ですから新しく閃
くはずもありません。
結局、無心で投入します。流れが速く思ったように沈みません。何回目
かで得心の位置に落ち着きます。すでにツツッという軽いアタリを感じ
ます。私もしつこいが、あんたもしつこい。毎回バラした後に竿を上げて
餌を点検しますが、餌に損傷がありません。口先で摘んでいるだけな
のです。ひょっとすると餌を針から外す術を知っているのかもしれませ
ん。

タンタンと強い引きが真下から来ます。合せずに次を待ちます。すると
軽くアタリます。素早く移動したようで引きの方向が変わりました。ここ
ぞと強めに竿を引くと、ラインが逆に川底に向かって走ります。穂先で
一二回掛かりを確かめます。間違いないだろうと思いつつも流心の背
を横切って寄せるときにはハラハラものです。

タモに入ったのは20センチのヤマメでした。

  
[左]二つ岩の対岸側から仕掛けを流します
[中・右]悲願とも言うべき20センチくらいのヤマメ



久々に興奮した一匹でしたが、冷静に考えるとバラしていた時のアタ
リや引きが今回若干違ったように思えます。もしかして、もう一匹居る
のではないかと思うようになりました。

喉を潤すペットボトルのお茶が冷え切った体をさらにゾクッとさせ身が
引き締まります。そういえばマイポイントに着てから釣師1人も見かけ
ません。見渡す渓流を独占しています。

少し流すコースを変えようと思いました。1メートルほど上手側のヨドか
ら流すことにします。ただ、それには中州のテーブルのような大岩に登
らなくてはなりません。ズブズブ沈み込む白砂の川底を強い水流によ
ろけながら慎重に歩き、竿を口に銜え岩に取り付きます。

一投、二投とベストポジションに仕掛けを運んでいるつもりなのです
が、反応がありません。そんな三投目、目印が流れの中を静止する
と軽いアタリが伝わります。やっぱり居るのです。
前回同様に頃合を待ちます。最初のアタリから間があってツンツンと
アタリます。まだ待ちます。さらに間があって強めのアタリがあった時
に竿先を払って合せてみました。掛かりました。ゆっくり手前に引きま
すと水面に顔先が現れてヤマメだと確認できました。その瞬間にバレ
ました。

思わず「オーッ」と叫んでしまいました。まるで劇画の世界です。左手
にタモを握り締めたまま呆然とする姿、矢口高雄の漫画にもあるよう
なシーンです。
なぜ掛からないのか皆目わかりません。

ここでヘタれません。ヤマメは臆病な生き物と言われますが、どうして
挑戦的です。人間も臆病者が知恵をつけると危険人物になると言い
ます。

気を取り直して竿を振ります。何度目かで魚信が伝わります。アタリと
アタリに間があって繰り返すという同じ流れです。問題はこっちがいつ、
どうやって判断するかなのです。「ヤマメに試されている」と思いました。


ここは小細工無用で引き抜くことにしました。竿を垂直に立ち起こしま
すと最初軽かったのでダメかと思いましたがその後ぐっと重たくなり心
地良い引きが竿に伝わります。水面下を強い流れに逆らって逃げる
ヤマメの姿が視界に入ります。ラインを張って距離を保ちつつ大岩を
降ります。まさかもうバレないだろうと思いつつ半信半疑で川原に戻り、
ゆっくり寄せました。
20センチくらいのヤマメですが、体長のわりに尾びれの発達した良型
でした。荒瀬育ちなのか胸ビレも背ビレも磨り減っていました。


  
宿敵は荒瀬に育った尾ビレの発達したヤマメでした


今思えば、何が功を奏したのかわかりませんが、めでたしということ
で、長く続いた便秘が解消したような気分で、今回は納竿としました。



2010/4/8
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フェンウィック さんコメントありがとうございます。
この時期は喰いが浅いのは仕方がないのかもしれません。
今週も晴天は続かず曇ったり冷たい雨が降ったりで天候も落ち着きま
せん。
できれば奥多摩の奥、マイナーな小沢か枝沢にでも行きたいところで
すが、心と時間に余裕が・・・・。

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